2013年8月5日月曜日

歯科医と理髪師

こんにちは、 愛媛県松山市余戸伊藤歯科医院、タカタです。

床屋さんの看板をご存知ですね。
そう、あのグルグル回る赤・青・白のあれです。
実は、あの色にはそれぞれ意味があるのです。
それも、床屋さんとは全く縁のないような以外な意味が・・・。

看板にその3色を最初に使ったのは、パリの理髪師メヤーナ・キールだとされています。
16世紀半ばのことでした。
さて、キールにはもう一つの顔がありました。
なんと、それは外科医。
実は、看板の赤・青・白は、それぞれ動脈・静脈・包帯を意味しているのです。

当時のヨーロッパでは、まだ外科が専門の学問として独立していなかったため、キールのように手先の器用な理髪師が、副業として外科的処置を行ったりしていました。
それは、歯科の分野にも及んでいて、口の中の清掃や抜歯なども理髪師の手によってなされていたのです。
専門的な訓練を受けたわけでもない理髪師が、懇親の力を振り絞って歯を抜かんとする姿を想像してみてください。
麻酔もなかった時代のこと、なかなか強烈な話です。

しかし、抜歯に関しては理髪師にやってもらうのはまだましだっといえるかもしれません。
というのも、彼ら理髪師のほかに民間の抜歯師や香具師なども抜歯を行っており、ひどいものになると、抜歯がステージの上でなされ、見世物になっていたこともあるからです。
これではもう医療と呼ぶには首をか傾げなくてはなりません。

医療現場で麻酔が本格的に使われるようになったのは19世紀になってから。
現代の進んだ医学の恩恵を受けてさえも、やはり歯の治療には多かれ少なかれ痛みは伴うものです。
床屋さんのグルグル看板を見ながら「あの時代に生まれていなくてよかった・・・」と思わずにはいられません。

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